ひっとかくれ

気まぐれに壁打ち

子供部屋おばさんのとある朝

きゅうりが嫌いだ。すいかもメロンも。瓜系のものが苦手だ。
自分から進んで購入しようという気にならないだけで、食べられるし、料理によってはあった方が良いので普通に食べる。
冷やし中華とか、ポテトサラダとか、漬物とか。そういう味付けの濃いものは美味しく食べられる。
ただ、サラダのように素材の味生かしてるものは、どうしても避けがち。

母がこのところ血圧が高めでちょっとしんどい、野菜不足だったかもしれない、野菜を食べなきゃって話になった。水分とかカリウム多めの野菜がいいかもなんて。

「きゅうり、あんたに気にせず買わなきゃいけないね。」
「私に気遣ってこれまであんまり買わなかったの?」
「あんたが嫌い嫌いって言うからね。」
「……それはお気遣いどうも。」

本当は食べたいから買いたかったって言外に滲んでいた。
確かに我が家の冷蔵庫にきゅうりのある日は少なかった。
嫌いとは言うけど、全く食べないってわけじゃないのにな……。買ってくるなと言ったことはなかったはずだけどな……。

知らない間に忖度されてて、知らない間にどうやらイラつかれてることに、なんとも名状しがたい気持ちになる。
私が嫌いって言ってるもう一つの野菜、アスパラガスは頻繁に買ってくるのにね。

「私に気にせず買ってよ。どうしても嫌なら私が食べないだけだし。」
「そういう訳にいかないでしょう。好き嫌いがあるなんて、子供みたい。」

何がどういう訳にいかないのか分からないが、イライラしているのが口調から伝わってくる。

私は知ってるよ。
あまり口には出さないけれど、あなたも嫌いな食べ物あるよね。
たぶん食の好き嫌いではなく、生活している上で色んなことから見え隠れする私の子供っぽさが気に障るんだろうね。
いい歳して……って思ってること、いっぱいあるんだろう。

「好き嫌いの有無で子どもみたいって言われちゃうの、ウケるね。」

黙り込むとそれこそ子供みたいかなと思って言葉を返してみるが、ただただ子供っぽさを助長しただけだった。

母の体調不良は私のことを思うストレスからきているのかもしれない。
とりあえず、今日はきゅうりを買って帰ろう。