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ユーリ!!! on ICE それは寒波とともに

漫画/アニメごと

今年一番の寒波が日本を襲った週末。私はひとり、遅延した新幹線を待っていた。

「沼」という表現がある。これは、特定の作品・人物・ジャンル等に対して抜け出せなくなるくらい好きになってしまうことを指すスラングである。ユーリ!!! on ICEという作品においてもツイッターピクシブ等で「ユーリ沼にはまった」と言う方が多数見受けられた。だが私にとってこの作品は「抜け出せなくなってしまう沼」というより、「突然嵐が来て雨風に晒されびしょ濡れになったあげく、いつの間にか川が氾濫し日常生活に支障が出ていた」という方がしっくりくる。いつかは水が引いてまともな生活がおくれるようになるはずだが、しかし溢れ出た水がなかなか引いていかないという状態である。嵐のようと称したとおり、毎週の展開は予想外で驚かされた。早く来週にならないだろうかと、待ち遠しい気持ちにさせてくれるアニメに出会ったのは久しぶりのことであった。私はもともとスポーツアニメはそれほど好きではない。この作品も視聴の予定はなかったのだが、お勧めしてくれた友人に感謝したい。全編見終えて、とても素敵なアニメであったと思う。

始めに、第1話を見たとき、昭和感丸出しのサブタイトルに目を疑った。ダサくて寒いタイトルだが、第1話視聴後には、この作品の雰囲気と第1話のストーリーとを的確に伝えることのできる良いタイトルであると思わされた。主人公の勝生勇利、副主人公のヴィクトル・ニキフォロフ、そして裏主人公ユーリ・プリセツキーの3人を軸として描かれる物語。本格フィギュアスケートアニメと銘打たれていたが、フィギュアスケーターアニメといったほうが正しいだろう。スケートシーンの動きや解説は本格的でありながら、フィクションらしく暗示と隠喩に満ちている。氷上での演技が、他の誰かの心情と重なる。

スケートシーンにかなりの時間を使っているので、その他のシーンは最小限に抑えられていると思う。描かれていない時間を、視聴者があれこれと行間を想像しながら物語を見ることができるのが、魅力の一つである。キャラクターの持ち物やインスタも印象的で、こだわりが見られる。使用されている音楽、風景、小道具などがキャラクターや物語と密接に関わっていることから、考察したがりなオタク心をとてつもなく擽ってくれる。

そして、そんな視聴者が想像する物語を超えてくるのが、このアニメの凄いところだ。第9話までは、ヴィクトルは勇利の動画を見てコーチになることを決めた、つまりヴィクトル主導でのコーチ就任という前提で物語をとらえていた。しかし第10話にて、実は以前に勇利の方からコーチになってほしいと願い出ていたという事実が明かされる。それまで全く語られることのなかった過去ー勇利が酔っていて覚えていなかったからという体であるーが明かされたことによって、また第1話のヴィクトルがどんな様子だったか見たくなる。そして新たに想像をめぐらすことができる。かなり上手いストーリー構成である。TV放送終了後も、今後の彼らはどうなっていくのか、このときキャラクターがこんな行動をとっていたら等と妄想はどんどん膨らんでいった。

そして、冒頭に戻る。1月15日、西日本で大雪が降ったその日、私はひとり東京へと向かった。約8年ぶりのイベント一般参加であった。ファンそれぞれの考察・物語の受けとめ方は様々で、そのどれもが素敵だった。アニメDVDでは、作品のオーディオコメンタリーや一部新規カットや修正があるそうだ。残念ながら私は予算の都合上購入していないのだが、DVDの新しい情報からファンが新たな考察をしてくれることが楽しみで、今後のイベントも参加してみたくなった。

 

追記
感想として語りたいことは多々あるのだが、文章化に慣れておらずもどかしい思いで一杯である。このようなときには、思いついたときに脈絡なくつぶやけるツイッターの有難さを実感するばかりである。